PFASとは
PFAS(有機フッ素化合物)は、炭素とフッ素を人工的に合成して作った物質です。
これらの化合物は様々な製品や用途で使用されており、私たちの日常生活に浸透しています。
PFASは熱や薬品に強く、水や油を弾く性質を持っております。そのためフライパン、衣類、医療機器、半導体製造用製品、建築用製品、潤滑剤、消火剤など、さまざまな用途で使用されてきました。
安定した物質であるため自然分解しにくく環境中に長く留まることが近年判明しており、それと合わせて一部のPFASは人体に対する悪影響が認められています。

| 有機フッ素化合物(PFAS) | |
|---|---|
| 特長 | 4730種を超える有機フッ素化合物の総称 |
| 自然分解しにくい | |
| 主な用途 | フライパンなどの調理器具 |
| レインコート | |
| 食品包装材 | |
| じゅうたんなどの敷物、家具 | |
| 健康被害 | 生殖的影響 |
| 子どもの発達障害または遅延 | |
| いくつかのがんのリスク増加等 | |
各国の規制状況について
PFASは「フォーエバーケミカル=永遠の化学物質」と呼ばれ、ほとんど分解されることなく体内や自然界に蓄積されるという特徴があり、欧米を中心に規制強化が進められてきました。
現在、各国で水道水や河川や地下水などにおける基準値が設けられています。
| 目標値(ng/L) | 備考 | ||
|---|---|---|---|
| PFOS | PFOA | ||
| WHO | 100 | 100 | 2022年に暫定ガイドライン値として提案 総PFASは500ng/Lを提案 |
| アメリカ | 4 | 4 | 2024年4月に第一種飲料水規則として決定 |
| 英国 | 100 | 100 | 2021年 |
| カナダ | 30 | 2023年2月、総PFAS量として提案 | |
| ドイツ | 100 | 2023年に飲料水に係る法令が改正 | |
| 日本 | 50 | 2026年度、目標値 | |
環境省 PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第4回)議事次第・配付資料より(2023)
アメリカでは既にPFAS汚染訴訟が多数提起されており、PFASによる健康被害がクローズアップされていることもありかなり厳しい基準値が既に設けられております。
2026年4月から50ng/L以下となるよう、基準値が定められました。
PFAS処理技術について
PFAS(有機フッ素化合物)の除去に効果的な処理技術を以下に紹介します。
活性炭吸着(Granular Activated Carbon, GAC)
活性炭はPFASを吸着する効果があり、水中のPFASを取り除くために広く使用されています。
これまで最も一般的な処理方法であり飲料水や廃水処理施設で活用されていますが、交換頻度が多くコスト面で問題があります。
イオン交換樹脂(ion exchange resin)
イオン交換樹脂はPFASを吸着し、取り除く効果があります。特に長鎖PFAS(例:ペルフルオロオクタン酸、ペルフルオロオクタンスルホン酸)に対して効果的です。
従来の活性炭に比べ吸着容量が大きく、交換のスパンが長くなる特長があります。
高圧膜分離(High-Pressure Membrane Systems)
逆浸透膜(RO)やナノフィルターなどの高圧膜分離技術は、PFASを取り除くのに効果的であり、飲料水の浄化や廃水処理に適用されています。
なお通常4~5倍に濃縮された廃液が排出されるため、その処理を別途考える必要があります。
PFAS除去用吸着剤について
弊社が取り扱っておりますPFAS除去用吸着剤の基本物性は以下の通りです。

PFAS除去用吸着剤 基本物性
| 母体・外観 | ゲル型スチレン・球状粒子 |
|---|---|
| 官能基 | 複合アミノ酸 |
| 粒度分布 | |
| 平均粒径 | 0.6~0.75mm |
| 均一係数 | 1.3以下 |
| 適用温度(Cl型) | 100℃< |
この吸着剤はゲルタイプの母材の非再生型樹脂です。
吸着塔に充填し通液することでPFAS濃度が検出下限値に近い1-5ng/L以下の処理水を得ることができます。
均一粒径グレードで拡散速度が最も高くなる粒度分布を持つ事により運転交換容量を向上でき 、樹脂の破砕に対する耐久性も高く長期間の使用が可能です。
また米国NSF/ANSI-61の飲料用使用規格に合致しており飲料用途に使用することが可能です。
吸着剤の使用方法について
吸着剤ですが塔に充填して運用するのが基本となります。
濃度が低いようなら1塔のみの運転でも構いませんが、安定した処理を望むのであれば直列2塔にて運転を行うのが望ましいです。
2塔目には1塔目リーク分しか流入しないため、負荷量としては大きいものではなく、流入水の濃度が大きくぶれた際に1塔目からリークした際の安全対策となります。
また吸着剤交換時も残り1塔で運転を継続することが可能です。

注意事項について
吸着剤運用に対しての注意事項は以下の通りです。
①PFAS原水濃度について
原水濃度ですが2,000ng/L以上の処理には適しません。
それらが対象の場合は前段にて濃度低減を行ってください。
②通水時の流量について
推奨する流量(SV)は8–40/hとなり、液性と圧力損失次第ですが20前後が一般的となります。
なお線速度30 m/hまでは層高900mm以上、線速度30 m/h以上は層高1100mm以上に樹脂を積むようにしてください。
③SS(浮遊物質量)分の流入について
運用時に吸着剤の逆洗は行えません。
そのため前段にてしっかりとSS分の除去を実施してください。
④問題成分の流入について
TOC、VOC、酸化剤(次亜塩素酸等)などが流入することで吸着剤が劣化する恐れがあります。
そのため前段に活性炭塔を設置することが望ましいです。
逆洗洗浄について
PFAS除去については、充填時以外に吸着剤の逆洗洗浄は行わないでください。
逆洗により飽和樹脂が出口側へ移動し、リークの原因となる可能性があります。


活性炭とイオン交換吸着剤の性能差について
イオン交換吸着剤は活性炭よりも長寿命であり、廃棄物量の削減が可能です。

イオン交換吸着剤はヤシ殻炭の約20倍、瀝青炭の約10倍の処理能が確認されています。
活性炭塔の設置について
前段に活性炭塔を設置することで処理効率が向上します。

処理データ1
処理例:井水中のPFAS除去
前ページに提示した井戸水原水に対し活性炭2塔+PFAS除去用吸着剤1塔に通液した際の処理挙動は以下の通りとなります。
(500日:吸着剤SV=32/hrのため樹脂量に対して384,000倍通水)

原水は平均70ng/L程度、前段活性炭出口水は50日付近より上昇し始めますが、後段の吸着塔出口水は500日通水した時点でも10ng/L以下に処理されております。
吸着剤に影響を与える余分な有機物を前段活性炭で除去、PFASについては後段吸着剤で処理する形とすれば安定して処理を継続することが可能となります。
処理データ2
処理例:高濃度PFAS除去
平均PFOS+PFOA濃度886ng/Lの原水を直接PFAS除去用吸着剤にSV=20~30/hrで通液した際の処理挙動は以下の通りとなります。

50ng/Lを超えてくるのは通水倍率で約250,000倍、SV=30/hrで運用した場合の日数に換算すると約350日相当となります。
こちら吸着剤への直接導入となるため、前段に活性炭を設置することで処理能は更に伸びる可能性があります。
使用後の処分について
岡山県吉備中央町にてPFAS除去に使用した活性炭をフレコンバックに入れたまま野晒しにしたところ、そこからPFASが流出、河川に流れ出し浄水場を経由して地域の水道水に混入していたことが判明しました。
このことからPFAS処理に使用した吸着剤においては使用後速やかに処理を行う必要があります。
PFAS吸着後の資材について国内においてはまだ規制も定まっておらず、処理についても具体的な方針が定まっておりませんが、1100℃以上にて焼却することで加熱分解することができることもあり、基本は受け入れ可能な産廃処理業者殿にて 処分を行うことが基本となります。
国内の受け入れ可能な業者としては一例として以下の通りです。
・株式会社クレハ環境殿
・株式会社丸萬商事殿
・DOWAエコシステム株式会社殿(子会社にて処理)
・三友プラントサービス株式会社殿
PFOS、PFOAなど対象成分によって処理の可否もあるため、処理については直接ご確認いただきますようお願いします。
運用コスト低減について
吸着剤は活性炭に比べて価格は高くなりますが、以下の点により総合的なコスト低減を図ることが可能となります。
①吸着性能アップに伴う交換頻度低下
活性炭に比べて高い性能を持っており、それに伴い破過までの寿命が大きく伸びております。
そのため活性炭運用時数か月毎に交換していたものは数年交換頻度へと延びることとなり、その分購入数量は大きく減ることとなります。
②産廃費用の削減
交換頻度が減ることで使用済みの資材量が減少しますので、その分処理コストも低減します。
現在日本国内においては受け入れ先も限られており、その費用も高額になりますので、非常に大きいメリットとなります。
PFAS処理装置設置事例

